ご家族が亡くなり、相続税がかかるのかどうかを調べているところかもしれません。相続税は、遺産を受け継いだすべての方にかかる税金ではありません。基礎控除額を超えるかどうかが、申告が必要かどうかの分かれ目になります。
この記事では、相続税がかかる基準、対象になる財産、税額の計算の流れ、申告期限までを順に説明します。相続税の申告を専門とする税理士が、国税庁の公表資料をもとにまとめました。
相続税は、亡くなった方の財産を受け継いだ人が納める税金です
まず、誰が納める税金なのかを整理します。そのうえで、かかるかどうかがどこで決まるのかを見ていきます。
納めるのは、財産を取得した人です
相続税は、相続や遺贈によって財産を取得した人が納めます。亡くなった方のことを被相続人(ひそうぞくにん)といいます。
納めるのは被相続人ではなく、財産を受け取った側です。財産を取得した各人が、取得した財産の額に応じて負担します。
相続や遺贈のほか、相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人も対象になります。この制度を選んでいた場合、贈与者が亡くなった時点で相続税の計算に組み込まれます。
かかるかどうかは基礎控除額で決まります
正味の遺産額が基礎控除額を超える場合に、相続税の申告と納税が必要になります。基礎控除額以下であれば、申告も納税も必要ありません。同額の場合も不要です。
このとき比べる正味の遺産額は、小規模宅地等の特例を適用する前の金額です。特例を使った後の金額で基礎控除額と比べると、判定を誤ります。
正味の遺産額は、遺産の総額と相続時精算課税適用財産の合計額が出発点です。相続時精算課税適用財産は、令和6年1月1日以後の贈与について、年分ごとに基礎控除額を差し引いた残額で計算します。
ここから非課税財産・債務・葬式費用を差し引き、加算の対象となる暦年課税の贈与財産を加えます。次の章から順に中身を見ていきます。
なお、特例を使った結果として税額が0円になる場合は、申告が必要です。この点は後の章で改めて説明します。
出典:国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」「No.4205 相続税の申告と納税」(2026年9月6日閲覧)
基礎控除額の計算と、法定相続人の数え方
基礎控除額は、法定相続人の数だけで決まります。ここでの数え方には、相続税だけのルールがあります。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
基礎控除額は、次の式で計算します。
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
法定相続人の数ごとの金額は、次のとおりです。
- 1人の場合:3,600万円
- 2人の場合:4,200万円
- 3人の場合:4,800万円
- 4人の場合:5,400万円
- 5人の場合:6,000万円
正味の遺産額がこの金額を超えなければ、相続税はかかりません。超える場合は、超えた部分に対して税額を計算していきます。
相続放棄をした人も人数に含めます
基礎控除額の計算で使う法定相続人の数には、相続税に固有のルールが2つあります。誰が相続人になるかという民法の話とは、扱いが分かれる部分です。
- 相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数で計算します
- 法定相続人の中に養子がいる場合、その人数には原則として上限があります
- 被相続人に実子がいるときは養子のうち1人まで、実子がいないときは養子のうち2人までを法定相続人の数に含めます
養子の人数制限には例外があります。次のいずれかに当てはまる人は実の子として扱われ、全員が法定相続人の数に含まれます。
- 被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人
- 被相続人の配偶者の実の子で、被相続人の養子となっている人
- 被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組でその配偶者の養子となり、結婚後に被相続人の養子となった人
- 被相続人の実の子・養子・直系卑属が死亡または相続権を失ったため、代わって相続人となった直系卑属
なお、養子の数を法定相続人の数に含めることには、例外があります。
相続税の負担を不当に減少させる結果になると認められる場合、その原因となる養子の数は含められません。
法定相続人の数は、基礎控除額のほか、生命保険金と死亡退職金の非課税限度額、相続税の総額の計算にも使います。
ご注意ください。実際に遺産を受け取る人の数と、基礎控除額の計算に使う法定相続人の数は一致しないことがあります。相続放棄があった場合や養子がいる場合は、人数の数え方を先に確定させないと、基礎控除額そのものがずれます。
出典:国税庁「No.4152 相続税の計算」「No.4170 相続人の中に養子がいるとき」(2026年8月31日閲覧)
相続税の対象になる財産と、差し引けるもの
正味の遺産額は、足すものと引くものを整理して求めます。順に見ていきます。
相続や遺贈で取得した財産
現金、預貯金、土地、建物、有価証券、事業用の財産など、金銭に見積もることができる財産が対象になります。被相続人が亡くなった時点で持っていた財産が中心です。
対象になる財産の範囲は、国税庁「No.4105 相続税がかかる財産」に一覧があります。
生命保険金・死亡退職金には非課税枠があります
被相続人の死亡によって受け取る生命保険金は、保険料の全部または一部を被相続人が負担していた場合に、相続税の対象になります。保険料を負担していた人と受取人の関係によっては、所得税または贈与税の対象になります。
死亡退職金は、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものが相続税の対象です。いずれも受取人が直接受け取るものですが、相続税では課税対象として扱われます。
これらには、それぞれ次の非課税限度額があります。
- 生命保険金等:500万円 × 法定相続人の数
- 退職手当金等:500万円 × 法定相続人の数
2つの枠は別々に計算します。ここでも法定相続人の数の数え方は、前の章と同じルールによります。
この非課税枠を使えるのは、受け取った人が相続人である場合に限られます。相続を放棄した人、相続権を失った人、相続人以外の受取人には適用されません。
法定相続人の数を数えるときは相続放棄をした人も含めますが、非課税枠を使えるかどうかの判定では相続人から外れます。この2つは別の話です。
出典:国税庁「No.4108 相続税がかからない財産」(2026年8月31日閲覧)
債務と葬式費用は差し引きます
借入金などの債務と、葬式費用は、遺産の総額から差し引きます。差し引いた後の金額が、税額計算の出発点になります。
何が差し引けるかは細かく定められています。詳しくは国税庁「No.4126 相続財産から控除できる債務」および「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」をご覧ください。
生前の贈与を加算する期間は7年へ移行しています
被相続人から生前に受けた贈与のうち、一定期間内のものは相続税の課税価格に加算します。この期間は、令和5年度税制改正により3年から7年へ延長されました。
ただし、切り替わりは段階的です。加算する期間は、被相続人の相続開始日によって次のように変わります。
| 被相続人の相続開始日 | 加算対象期間 |
|---|---|
| 〜令和8年12月31日 | 相続開始前3年以内 |
| 令和9年1月1日〜令和12年12月31日 | 令和6年1月1日から死亡の日までの間 |
| 令和13年1月1日〜 | 相続開始前7年以内 |
出典:国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」をもとに作成
相続開始の日が令和9年1月2日以後の場合には、緩和措置があります。加算対象期間のうち相続開始前3年以内より前の部分は、贈与時の価額の合計額から総額100万円までが加算されません。
加算の対象になる贈与は、贈与税がかかったかどうかを問いません。基礎控除額110万円以下の贈与も加算の対象です。
加算されるのは、相続・遺贈・相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が受けていた贈与です。生前に贈与を受けたすべての人について、一律に加算されるわけではありません。
また、次の非課税や控除の適用を受けた部分は、原則として加算されません。
- 贈与税の配偶者控除の適用を受けた金額に相当する部分
- 住宅取得等資金の贈与のうち非課税の適用を受けた金額
- 教育資金の一括贈与のうち非課税の適用を受けた金額
- 結婚・子育て資金の一括贈与のうち非課税の適用を受けた金額
ただし、教育資金や結婚・子育て資金については、贈与者が亡くなった時点の管理残額が別途相続税の対象になる場合があります。
出典:国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」(2026年8月31日閲覧)
相続時精算課税を選んでいた場合
相続時精算課税は、贈与の時点で贈与税を納め、贈与者が亡くなったときに相続税で精算する制度です。前の項で説明した暦年課税の生前贈与加算とは、扱いが分かれます。
この制度を選んでいた場合、贈与者が亡くなったときに、相続時精算課税適用財産を相続財産などと合算して相続税を計算します。すでに納めた贈与税相当額は、計算した相続税額から控除します。
控除しきれない贈与税相当額がある場合は、相続税の申告をすることで還付を受けられることがあります。相続税がかからない場合でも、還付のために申告するケースがあります。
なお、令和6年1月1日以後の贈与については、相続時精算課税に年110万円の基礎控除があります。相続時に合算するのは、贈与を受けた年分ごとに、この基礎控除額を差し引いた残額です。令和5年12月31日以前の贈与には、この基礎控除はありません。
出典:国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」「No.4301 相続時精算課税の選択と相続税の申告義務」(2026年9月6日閲覧)
相続税の計算は4つのステップで進みます
相続税は、各人が受け取った財産に直接税率をかけて計算するものではありません。いったん全体の税額を出してから、各人に割り振る仕組みになっています。
全体の税額を出してから、各人に割り振ります
計算は次の順序で行います。
- 財産を取得した人ごとに課税価格を計算し、合計して課税価格の合計額(正味の遺産額)を求めます
- 課税価格の合計額から基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を求めます
- 課税遺産総額を法定相続分で按分し、速算表を使って各人分の税額を出し、合計します。これが相続税の総額です
- 相続税の総額を、各人の課税価格が課税価格の合計額に占める割合で割り振り、税額控除を差し引きます
ステップ3では、実際の分け方にかかわらず法定相続分で按分します。実際の分け方が反映されるのは、ステップ4です。
ステップ4で使うのは各人の課税価格の割合であり、遺産の取得額そのものの割合ではありません。債務控除、非課税となる保険金、生前贈与加算があると、両者は一致しません。
なお、財産を取得した人が被相続人の一親等の血族および配偶者以外である場合は、税額控除を差し引く前の相続税額に20%相当額を加算します。これを相続税額の2割加算といいます。
孫の扱いには注意が必要です。被相続人の子が先に亡くなったことなどで代襲相続人となった孫は、原則として2割加算の対象になりません。
一方、被相続人の養子となっている孫は、代襲相続人となっている場合を除き、原則として2割加算の対象です。養子は一親等の法定血族ですが、孫養子はこの例外にあたります。
出典:国税庁「No.4157 相続税額の2割加算」(2026年8月31日閲覧)
相続税の速算表
ステップ3で使うのが、次の速算表です。表の金額は、各人が実際に受け取った金額ではなく、法定相続分で按分した金額です。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | — |
| 1,000万円超から3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超から5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超から2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超から3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超から6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
出典:国税庁「No.4155 相続税の税率」(令和7年4月1日現在法令等)をもとに作成
計算例:法定相続人が配偶者と子2人の場合
正味の遺産額が2億円、法定相続人が配偶者と子2人のケースで計算してみます。実際に配偶者が2分の1、子が4分の1ずつ取得したものとします。
- 基礎控除額:3,000万円+600万円×3人=4,800万円
- 課税遺産総額:2億円-4,800万円=1億5,200万円
- 法定相続分に応ずる取得金額:配偶者7,600万円、子3,800万円ずつ
- 配偶者分の税額:7,600万円×30%-700万円=1,580万円
- 子1人分の税額:3,800万円×20%-200万円=560万円
- 相続税の総額:1,580万円+560万円×2人=2,700万円
次に、相続税の総額を各人の課税価格の割合で割り振ります。この例では債務控除や生前贈与加算がないため、取得割合と課税価格の割合が一致します。配偶者は1,350万円、子は675万円ずつです。
ここから税額控除を差し引きます。配偶者は次の章で説明する配偶者の税額の軽減により0円となり、この例の納付税額は子2人分の1,350万円になります。
これはシミュレーション上の試算値であり、実際の税額は個別に判定します。財産の評価額や分け方が変われば、結果も変わります。
出典:国税庁「No.4155 相続税の税率」(2026年8月31日閲覧)
税額を下げる主な特例と控除
相続税には、税額や評価額を下げる制度がいくつかあります。ここでは代表的なものを取り上げます。
配偶者の税額の軽減
被相続人の配偶者が実際に取得した正味の遺産額のうち、次の金額のどちらか多い金額までは、配偶者に相続税はかかりません。
- 1億6,000万円
- 配偶者の法定相続分相当額
この制度は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産をもとに計算します。そのため、申告期限までに分割されていない財産は、原則として対象になりません。
申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添えて提出し、申告期限から3年以内に分割したときは、対象になります。ただし、分割見込書を出しておけば自動的に税額が戻るわけではありません。
申告後に成立した遺産分割に基づいてこの軽減を受ける場合、分割が成立した日の翌日から4か月以内に更正の請求という手続が必要です。この期限を過ぎると、軽減を受けられなくなるおそれがあります。
なお、この制度の対象となる財産には、隠蔽または仮装されていた財産は含まれません。
「配偶者控除」と呼ばれることがありますが、正式には配偶者の税額の軽減です。贈与税の配偶者控除とは別の制度です。
出典:国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」(2026年9月7日閲覧)
小規模宅地等の特例
被相続人等の事業用または居住用だった宅地等について、一定の面積までの部分の評価額を減額する制度です。区分ごとに、限度面積と減額される割合が定められています。
- 特定居住用宅地等:330㎡まで 80%減額
- 特定事業用宅地等:400㎡まで 80%減額
- 特定同族会社事業用宅地等:400㎡まで 80%減額
- 貸付事業用宅地等:200㎡まで 50%減額
貸付事業用宅地等がない場合、特定事業用等と特定居住用の両方を選ぶと合計730㎡まで適用できます。貸付事業用宅地等がある場合は、面積を調整する計算式によって限度を判定します。
取得者ごとの要件、保有や居住を続ける期間の要件など、適用の条件は細かく定められています。要件を満たすかどうかは個別に確認が必要です。
出典:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」(2026年8月31日閲覧)
そのほかの税額控除
計算のステップ4では、次の控除を決められた順序で差し引きます。該当するものがないか、ひととおり確認します。
- 暦年課税分の贈与税額控除
- 配偶者の税額の軽減
- 未成年者の税額控除
- 障害者の税額控除
- 相次相続控除
- 外国税額控除
- 相続時精算課税分の贈与税相当額
それぞれに適用の要件と計算方法があります。控除の適用漏れは、そのまま納めすぎにつながります。
相続時精算課税分の贈与税相当額は、控除しきれない場合に還付の対象になります。ほかの控除とは、この点で扱いが異なります。
特例で税額が0円になる場合も申告は必要です
申告が必要かどうかは、特例を適用する前の金額で判定します。特例を適用した後の金額で判断すると、結論が変わります。
ご注意ください。配偶者の税額の軽減や小規模宅地等の特例は、相続税の申告書を提出することが適用の条件です。これらを使った結果として税額が0円になる場合でも、申告は必要です。
申告しないまま期限を過ぎると、特例を受けられなくなる場合があります。
申告と納税の期限は10か月です
期限と提出先は決まっています。財産の評価や遺産分割には時間がかかるため、期限から逆算して進めることになります。
提出先は被相続人の住所地を所轄する税務署です
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行います。通常は、被相続人が亡くなった日の翌日から数えます。
提出先は、被相続人の死亡の時における住所地を所轄する税務署です。相続人の住所地を所轄する税務署ではありません。
納税の期限も、申告期限と同じ日です。金銭で一度に納めるのが原則ですが、延納と物納の制度もあります。
期限に遅れると加算税や延滞税がかかる場合があります
申告期限までに申告をしなかった場合は、本来の税金のほかに加算税や延滞税がかかる場合があります。実際に取得した財産の額より少ない額で申告をした場合も同様です。
期限が土曜日、日曜日、祝日などに当たるときは、これらの日の翌日が期限とみなされます。
出典:国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」(2026年9月6日閲覧)
相続に関する主な期限
相続税以外にも期限のある手続があります。動く順番を考えるうえで、あわせて把握しておくと役立ちます。
| 手続 | 期限 | 起算点 |
|---|---|---|
| 相続の放棄・限定承認の申述 | 3か月以内 | 自己のために相続の開始があったことを知った時 |
| 準確定申告 | 4か月以内 | 相続の開始があったことを知った日の翌日 |
| 相続税の申告・納税 | 10か月以内 | 被相続人が死亡したことを知った日の翌日 |
| 相続登記の申請 | 3年以内(下記参照) | 不動産の所有権を取得したことを知った日 |
出典:裁判所「相続の放棄の申述」、国税庁「No.2022」「No.4205」、法務省「相続登記の申請義務化」をもとに作成
相続放棄の3か月は熟慮期間と呼ばれます。財産の状況を調べてもなお判断できない場合、家庭裁判所に申し立てることで期間を伸ばせる制度があります。この申立ても3か月以内に行う必要があります。
相続登記は、2024年(令和6年)4月1日から申請が義務化されました。期限は、いつ取得を知ったかによって次のように分かれます。
- 2024年(令和6年)4月1日以降に不動産を相続で取得したことを知った場合:知った日から3年以内
- 2024年(令和6年)4月1日より前に不動産を相続で取得したことを知った場合:2027年(令和9年)3月31日まで
これに加えて、遺産分割によって不動産を取得した場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容に基づく登記の申請が必要です。基本の期限とは別の義務になります。
法定相続分での登記や相続人申告登記を済ませていても、この追加の義務は残ります。最初の登記で完了したと考えて放置しないよう、注意が必要です。
相続登記の申請は、相続人ご本人でも行えます。依頼を受けて申請手続の代理や書類の作成を業として行えるのは、司法書士および弁護士です。当事務所では相続登記の代行は承っておりません。
相続人の間で話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所の調停を利用できます。申立ては相続人ご本人でも行えます。報酬を得て交渉・代理を行えるのは弁護士です。
出典:裁判所「相続の放棄の申述」「相続の承認又は放棄の期間の伸長」、国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」、法務省「相続登記の申請義務化について」「相続登記の申請義務化に関するQ&A」「相続登記の申請義務化特設ページ」(いずれも2026年9月6日閲覧)
相続税の計算でつまずきやすいのは土地の評価です
ここまでの計算は、財産の金額が決まっていることを前提にしています。しかし現金や預貯金と違い、土地は金額そのものを計算しなければなりません。
土地の評価額は自動的には決まりません
相続税の計算に使う土地の評価額は、売買価格をそのまま使うものではありません。評価の方法は、路線価方式と倍率方式の2つに分かれます。
- 路線価方式:路線価が定められている地域の土地に用います
- 倍率方式:路線価が定められていない地域の土地に用います。固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します
倍率方式では、固定資産税評価額が計算の直接の基礎になります。固定資産税の課税明細書には固定資産税評価額と課税標準額の両方が載ることがあるため、どちらを見ているかの確認が必要です。
路線価と評価倍率は年分ごとに更新されます。どの年分を使うかは、相続が開始した年によって決まります。
家屋の評価には例外があります
家屋は、原則として固定資産税評価額に1.0を乗じて評価します。ただし、次の家屋は例外です。固定資産税評価額と同じ金額にはなりません。
- 令和6年1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得した居住用の区分所有財産(いわゆる分譲マンション)。家屋部分・敷地部分とも区分所有補正率を乗じて評価します
- 人に貸している貸家。借家権割合と賃貸割合を考慮して評価額を調整します
区分所有補正率の対象になるのは、居住用の区分所有財産です。次のものは対象外です。
- 事業用のテナント
- 区分建物の登記がされていないもの(一棟所有の賃貸マンションなど)
- 総階数が2以下の集合住宅
- 専有部分が3室以下で、所有者やその親族が居住しているもの(二世帯住宅など)
分譲マンションを相続した場合、固定資産税評価額をそのまま使うと評価額を過小に見積もることがあります。実際の評価は個別に判定します。
出典:国税庁「No.4602 土地家屋の評価」「No.4606 倍率方式による土地の評価」(2026年8月31日閲覧)、「No.4667 居住用の区分所有財産の評価」(令和8年4月1日現在法令等・2026年9月5日閲覧)
参考:国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」
まとめ
この記事の要点を整理します。
- 相続税がかかるかどうかは、正味の遺産額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかどうかで決まります。この判定は、小規模宅地等の特例を適用する前の金額で行います
- 基礎控除額と、生命保険金・死亡退職金の非課税枠(各500万円×法定相続人の数)は、いずれも法定相続人の数で決まります。この数え方には相続放棄と養子の固有ルールがあり、非課税枠を使えるのは相続人が受け取った場合に限られます
- 税額は、いったん法定相続分で按分して全体の税額を出し、各人の課税価格の割合で割り振ってから控除を差し引きます
- 申告と納税の期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。配偶者の税額の軽減や小規模宅地等の特例を使って税額が0円になる場合も、申告は必要です
- 相続時精算課税を選んでいた場合、贈与者が亡くなったときに相続税の計算に組み込まれます。家屋の評価も、分譲マンションと貸家では固定資産税評価額と同じ金額になりません
本記事は、相続税の一般的な制度を解説したものです。
実際の取扱いは、財産の内容・相続人の状況・遺産分割の内容によって変わります。
個別の判断については、税理士にご確認ください。
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